切り通しの細い道にあがる大きな赤い提灯が目印。開口は狭いが奥に行くほど広がる典型的な鰻の寝床。テーブル席、座敷、いつも多くの客で賑わっている。うどん蕎麦、もしくは蕎麦うどん、と京都の麺類を商う店はどちらが主というわけではなく、好みに応じてどちらでも、という曖昧なところが多い。更には丼ものも含めて、うどん、蕎麦、丼、どれも自信あり、という店が多いのが京都の特徴なのだが、それには理由があって、京都のこ
売りたいのは出し汁... の続きを読む
「金福寺」が俳句なら、すぐ隣の「詩仙堂」は漢詩。徳川家康の家臣として名を上げながら武士を捨てた石川丈山が建てた山荘である。白砂を敷き詰めた庭園には、綺麗に刈り込まれた植栽の緑と紅葉が、鮮やかなコントラストを描き出し、丈山考案と伝えられる鹿威しが、コーン、と澄んだ音を響かせる。近年、お寺や神社など、庭園をライトアップして公開するところが増えていて、春秋の観光シーズン、夜の早い京都で多くの参拝客を集め
漢詩の誌仙堂、ライトアップの圓光寺... の続きを読む
日本人の自主性のなさ、依頼心の強さはすべて小さい時からの教育が右向け右ッの上から命令されて、盲従する団体訓練のせいなのだ。せめてせっかく大らかな海と空の美しい自然に囲まれた船の中で何かを学ぼうとするなら、今までの日本人のいちばんの欠点だった自主性による公共心の養成を考えたらどうかと思う。たとえば、朝は勝手に起きる。スケジュールには午前六時半から後部デッキでラジオ体操とあるから、出たければ出る。朝食
船を使った独特の意義... の続きを読む
昨今、朝食に限らず、ブッフェ形式、つまり食べ放題のバイキングが人気を集めている。セルフサービスでいただくブッフェは一九五八年、帝国ホテルと大阪グランドホテルで始まった(バイキングという呼び名は、当時公開されていたアメリカ映両『バイキング』から取られた。海賊たちが豪快に食べる場面がイメージに合ったからだという)。やがて、ホテルの大衆化が進み、数多くの食材を取り扱うホテルならではの業態ということで注目
ブッフェレストランの流行... の続きを読む
赤沢を中心とする国有林は、木曾檜を代表する森なのだ。かつて森林鉄道も通っていた木材の集積場の傍らに通りかかると、生木の甘くかぐわしいいがたちこめている。やがて道が赤沢と呼ばれる沢に寄り添うようになれば、川の中は、鉄分を帯びた赤茶色の岩盤があちこちで露出している。そうした岩の上を、龍翠色の水が流れているのだが、川岸には護岸がないところもあるようで、流れのすぐそばまで木々の幹が迫っている。まったくそこ
木々と水と風の楽園、赤沢... の続きを読む